モーテルに到着。
さっきまでなんてことなかった小さな物音が
こんなにもこわくなるなんて。
ドアを二重にロックし、椅子をドアに立てかけ、
その椅子の前にテレビ台を置く。
これで急には入れないだろう……。
すぐ通報できるように電話は枕の横に。
無論、カーテンもしっかり閉める。
こわいのでテレビはつけっぱなしだ。
どうしよう、どうしよう。
とりあえずポートランドから日本に帰る飛行機を検索。
ないことはない、でも俺、本当に帰るのか……?
ジェニファーの話がどうにも信じがたいので、
何名かの友人に相談してみた。
そのうちパソコンに詳しいヤツがポツリ。
「キャリアのメールアドレスからハッキングするのは不可能なはず。
スマホのハッキングにはウイルスを使わないと」
え、そうなの?
全然詳しくないからわからないけど……。
彼曰く、ハッキングの可能性があるなら
公共を装ったWi-Fi経由のウイルスなどでしか考えられないらしい。
それならチェックできる、とさっそくウイルスアプリを投入。
あれ!
検出されない!
ていうかこの顔すげームカつく、こっちは真剣なのに……。
て、ことは?
ジェニファーが嘘をついてるか、
組織が俺らの知りえる情報を遥かに超えた技術を持っているか、である。
ジェニファーは特に後半すげーヘラヘラしてたし、
大きなカルト教団ならそれくらいの技術者はいそうだし。
どっちも有り得るんだよな、答えは出ないまま……。
全然眠れない夜。
とりあえず明日ジェニファーと話せば……。
翌朝。
モーテルをチェックアウトし、
早めにマクドナルドで待つ。
これで来なかったら、俺はただただ
からかわれていただけかも知れないな。
1時間経過。
ジェニファーは来ない。
2時間経過。
ジェニファーのジェの字も来ない。
来ないじゃねえか!!!
ただ単にからかわれただけなのかも。
結末はわからないままだけど。
俺はそうやって安心することに。
旅はこのまま続けて、
また何か起こったら、その時に考えよう。